イベント
2023.07.13
【イベント開催報告】サポーター勉強会 〜住まいがない若者を支えるNPOのリアル〜
7月4日(火)20:00から、サンカクシャを寄付やボランティアで支えてくださっている方々を対象に「サポーター勉強会 住まいがない若者を支えるNPOのリアル」をZOOMにて開催しました。
サポーター勉強会は、若者支援に関心を持ってサンカクシャを支援してくださっている皆様に、若者や支援現場の現状、進行中の取り組み、NPOを運営する上での葛藤や悩みなどを共有し、一緒に支援のあり方を考える場として今回初めて実施し、16名の方にご参加いただきました。
若者へのアンケート・インタビューから見えること
テーマは、昨年後半から特にニーズが高まっている若者の居住支援。
初めに、4月に公表した「シェアハウスを利用した若者に対するアンケート・インタビュー調査」レポートについて、このレポートの執筆者で若者支援の分野で幅広いご経験のある田中成幸さんより解説していただきました。
レポートは、シェアハウスに住む若者の生育歴、サンカクシャにつながるまでの経緯や現在の状況、サンカクシャの支援について、今後の希望などをアンケートおよび詳細なインタビューで調査することで、若者の実態を把握し、そこから見える支援の現状や課題について考察したものです。
田中さんからは、インタビューでの若者の生の声や、多くの回答者が虐待など家庭環境に困難を抱え大人への不信感を持っていること、行政の支援を受けたことがある若者は半数を下回り、1/3は行政の支援を知らなかったことなどの報告がありました。
また結果から示唆される支援に求められる機能として、若者に支援を知ってもらえるように双方向のツールを通じてアクセサビリティを高めること、基本的な生存欲求を満たす居住空間や食事の提供、そしてそこで得られる親身になってくれる支援者のサポートなどが挙げられました。
説明資料はこちらからご覧ください。
※田中さんがこのイベントについて書いたNOTEの記事もぜひ読んでください!
若者の居住支援の現場から https://note.com/mass3behappy/n/n8d5bca7ed509
プロフィール 田中成幸氏(たなかまさゆき)
1982年生まれ。大学院在学中に半年ほどひきこもりを経験。3回の就職活動を経て2008年に株式会社野村総合研究所に入社。子ども・若者に関する調査研究・中間支援に携わる。
2017年より認定NPO法人育て上げネットに参画し若者の自立支援に携わる傍ら、若者の起業支援を手掛けるGOB Incubation Partnersにも参画、ひきこもり状態の若者から起業を目指す若者まで幅広く関わる。現内閣府子ども・若者支援地域協議会・総合相談窓口アドバイザー
その後、若者へのインタビューを実施した代表の荒井と居住支援担当の奥田も加わり、インタビューの感想や、若者の実態、支援でサンカクシャが大事にしていること、課題や悩みなどを語りました。参加者からの活発な質問に答える形で進めていきました。この記事では、内容の一部になりますがポイントをお伝えします。
若者の実情
苦労してやっと支援にたどり着くが、そこからが大変。失敗が許されなかった、一般的な常識を身につけられずに育った若者が自立していくのは長い道のりになる
行政に繋がっても解決しない理由の一つに若者が行政の施設に合わないということがある。サンカクシャは若者にあった暮らしを提供している
支援側の自立してほしいという気持ちを敏感に察知して受け答えをする傾向がある。面談では前向きな発言をするが、実際はなかなか動けず、一筋縄で行かないものをずっと見守る
同年代の支援者と自分を比べたり、働いているスタッフへの負い目を感じてしまい、立場の違いに抵抗感がある
うまくいった場合も、「頑張ったのは自分で、自分は支援を受ける対象ではないはず」と思いたいといった支援を受けることへの複雑な気持ちがある
若者への接し方
若者がシェアハウスから出て自立していけるように、安心できる場を提供しながら時に厳しいことも伝える「北風と太陽」のアプローチ。スタッフがコミュニケーションの役割分担をしている
若者にとって面談はアウェイの環境で、正しいことを言わなければならないと感じてしまうので、砕けた雰囲気を心がける。爆笑するような話題でリラックスしてもらう
運営の課題
シェアハウスの満室状態が続いているが、増やすにはコストがかかる
シェアハウスの家賃を負担できない若者が多いため、約半分が団体としての負担となる。助成金は単年度なので、自転車操業。安定した資金調達が課題
親の代わりとして、本来家族が提供するものを長期間提供していくため、ひとりに費やすコストが大きくなる。長期間になる支援の難しさを抱えている
公的制度に家賃補助がないため、民間でやりくりしている状態。公的なセーフティネットがほしい
「自立」への道で大事なこと
20年あまり孤立して生きてきた若者の失われた機会や体験をどこまで補えるのかと考えている
自立支援=就労とは考えない
若者にとっての日常的な幸せをどう作り出すかが大事
働く意欲、生きていく意欲を失った若者には、やりたいことをやってみる、食べたいもの食べるといった経験の積み重ねが就労支援の手前として必要
どんな仕事をしたいかの前に何をしたいかがあるべき。彼女がほしい、モテたいなどの欲求から働こうという動機につなげていくようにしているが、このような活動にはお金がつきにくい
1時間ほどお話をした後、アフタートークとしてお時間の許す方に残っていただき、こじんまりとした話しやすい雰囲気で対話をしました。支援の入り口につながった後の継続した見守りのための予算確保の問題を議論したり、支援団体が連帯していくこと、若者や支援の実態を伝える調査データを世に発信していくことへのご意見などをいただき、密度の濃い時間になりました。
ご参加いただいた皆さまの、若者支援の課題を真剣に考えてくださる姿勢や温かいお言葉にスタッフも励まされました。ありがとうございました。
サンカクシャでは、活動を支えてくださっている多様な皆さまとともに、若者支援について理解を深め、様々な視点から考え、社会に発信していきたいと考えています。今後も今回のようなセッションを企画していきます。若者支援についてもっとこんなことが知りたい、こんな疑問があるという方は、お知らせください。
活動の輪に加わっていただける方は、ぜひ、ご寄付やボランティアでご協力をお願いします。
また、SNSでの情報シェアを通じて、活動の広がりを後押ししていただけますようお願いします。
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ライター
水上みさ
広報/ファンドレイジング
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2023.07.13