サンカクシャ

荒井の若者支援日記

2024.01.13

自立 2.0

荒井の若者支援日記 Vol. 2

若者の支援をしていると、「自立」という言葉をよく聞きます。
この言葉は、意外と定義されていないし、みんな漠然と使っていると思います。
さらに、若者を苦しめている言葉の一つではないかと思います。

「若者支援日記」2回目の今回は、この自立について、今の考えをまとめてみます。

自立と聞くと、多くの人は働いて、自分の力で暮らしていくことを想像します。
これは、特に経済的自立を指すと思います。

若者という観点から見ると、さまざまな困難があり、働けなかった若者が働いて、自分の力で生活できるようになるという変化はいいことだとみんなが思うでしょう。

大人という観点で見ると、たしかに働けるようにはなったけど、自分は自立したと言えるのか? 成長しているのか? と思うことがある人は多いと思います。(私だけでしょうか?笑)

すごく短期的にみたら、働けなかった若者が働けるようになるというのはとても良いように聞こえます。
でも、じゃあ働けるようになったら幸せかと問われると疑問符が出るのではないでしょうか。

もっと長期的に、人生を豊かにしていくためにも、サンカクシャは経済的な自立だけではなく、精神的な自立を追い求めていく団体になりたいです。

精神的な自立とは何かをまとめてみます。

頑張って色々調べてみましたが、よくわかりませんでした(笑)。
自分なりにざっくり解釈すると、
「自分らしくいる」ということなのではないでしょうか。

そして、自分らしくいると同時に、他者が自分らしくいることを許容すること。わがままとはちょっと違うのかなと。自分らしくいるというのが他者に迷惑がかかっている状態は自立とは呼べないのかなと。

自分らしくいるというのは、実はすごく難しいことではないでしょうか。

生きているとさまざまな制約にぶつかります。
お金、人間関係などなど、本当は「自分はこうありたい」と思ったとしても、さまざまな壁に阻まれて、現実と折り合いをつけてみんな生活しています。
折り合いをつけて生きられるようになったけど、果たして自分はこれでいいんだっけ?と多くの人が思っているのではないでしょうか。
社会に適応できてしまうとついつい忘れがちにもなってしまうとも思います。

若者を見てみると、もうとにかく生きづらい。
さまざまな課題や発達特性などがあり、社会に適応することが難しすぎます。

ここではあまり自分の話をしませんが、まあ自分も生きづらかったです。
ひょんなことから、こんな支援の活動に興味を持ってしまい、これをしてないと生きた心地がしないと、会社を辞め、お金にもならないことを約15年ほど続けて、今何だかんだ生活できるようになりました。

だからこそ、社会にはまれず、もがき苦しんでいる人たちに関心があるのだと思います。
自分も、そして若者たちも共に自分らしく生きていこうよとピアサポート的な感じをこれまでやってきたのかなとも感じます。

「自分はこうありたい」
決して言葉にならないけど、これまで否定されたり、殴られたりして、社会にはまれずに苦しんで生きていきた若者たちは心のどこかにこんな声があるのではないかと感じています。

私たちはそれを大切にしたい。
たくさん傷ついて、社会に馴染めなくて、たくさん苦しんだからこそ、この「自分はこうありたい」というものを大切にする必要があるんだと思います。
これは若者に限った話ではないとも思います。

そのためには、
①「自分はこうありたい」を模索すること、
②「自分はこうありたい」を持ちながら社会に適応していくこと
これが大事なのではないかと思います。

①はついつい忘れちゃうし、ふたしてしまうため気づきにくいので、まずは身近な大人が「自分はこうありたい」を貫く姿勢が大事な気がします。
②は、お金が絡んできます。どう食っていくかです。

誰の言葉か、誰から聞いたかも忘れてしまいましたが、
「自分らしくいることが、その人にできる最大の社会貢献」
みたいな言葉を聞いたことがあります。
この言葉が割と自分の人生の中心にはあったように思います。

自分らしくあること、自分のあり方を大切にすることを、サンカクシャでは精神的な自立と捉えてみます。

精神的自立をこう捉えると、激ムズです。
でも、ここを、というかこここそ、自分たちも、そして若者たちもサポートしていくことにこの活動の意義があるのではないかと考えます。

私自身が、「自分はこうありたい」を体現する人間でありたいですし、若者に向き合うスタッフがそうあったら嬉しいです。
そして、仕事だからとか社会人だからとかで、スタッフそれぞれの自分らしさを阻害しない組織にしたい。これはどうやって実現していくか難しそうですが、サンカクシャらしい組織づくりをやってみたい。

私たち自身が、若者たちが、自分のあり方を大切にすること。
そして、「こうあるべき」みたいな堅苦しい社会にもメスを入れて、変な人たちが生きやすい世の中にしていきたい。

これが私たちが追い求める若者の自立像、社会像なのかなと思います。

なんかまだしっかり言語化できている気がしませんが、ふう、やっと思っていたことを言葉にできた、そんな感覚です。

ここまでお付き合いいただきありがとうございましたー。


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ライター

荒井 佑介

代表理事

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2024.01.13