特集・企画
2024.03.06
若者インタビュー #1:サンカクシャと一緒に仕事をしたい 〜地方から上京、シェアハウスから一人暮らしで行政書士の資格を取得〜
サンカクシャは、“親や身近な大人を頼れない15~25歳くらいの若者”を支援の対象としていますが、集まってくる若者は多様なバックグラウンドを持っています。そのため彼ら彼女らを短い言葉で言い表すことはできないのですが、“若者支援”と聞いたときにどんな若者が支援を必要としているのかイメージし難いという声を聞きます。
一見すると、“普通”の若者と変わらず、声を掛ければ明るく話してくれる若者たちでも、サンカクシャにつながるまで、そしてつながってからも、一人ひとりの葛藤や生きづらさのストーリーがあります。
このシリーズでは、そんな若者が語ってくれたそれぞれの物語を紹介します。
いつも喧嘩している両親を見ながら育った
子供の頃の家庭環境について教えてもらえますか?
一人っ子で、両親と3人暮らしでした。子どもの頃から大きくなるまで、両親がずっと喧嘩をしている状態が続いていました。父は会社員、母は専業主婦でした。
それはどんな喧嘩でしたか?
ものが飛んだり散乱したりをずっと見ていました。暴力はなかったんですが、喧嘩を見聞きしているんで、両親に対して閉じこもってしまった感じです。自分が何か言ったらまた喧嘩になるんじゃないかって思って、自己主張をできなかったんです。両親は頻繁に喧嘩をするものの、離婚はせずに、仲は悪いけどとりあえず一緒に居るみたいな状態でした。
学校では地味で、普通に平和に過ごした
学校ではどんな子どもでしたか?
まあずっと地味。小学校では特に印象に残っていることもなく、普通におとなしく過ごしていました。その頃は、勉強は全然できなかったです。
親御さんから勉強のことなどについて怒られることはなかったですか?
特に何も言わず、無関心でした。普通に世話はしてくれてご飯も作ってくれたりしていましたが、関心がないようで。怒られないように大人しくしていたからか、そういうことはあまりなかったです。
友人関係は?
普通だったんじゃないですか。ずっといじられていた感じで、今のサンカクシャでの状況と似たような感じでした(笑)。 ○○○(本人のニックネーム)というサンカクシャでのニックネームは小学生の頃からの呼び名です。
中学時代は?
水泳をやっていました。高校受験の頃に自分で勉強しなくちゃと思ってやり始めたら、そこから好きになって、一人で受験勉強して地元の公立高校に進学しました。特に親や先生に反抗したりもなく、普通に平和に過ごしていました。
友人関係も特に問題なく?
中学までの友人とは、高校が別々になってしまいましたが、高校で友達を作ることはできました。家庭が荒れていたから学校の方が居心地が良かったです。
元女子校だったので男子より女子が多い環境でしたが、女子とはあまり関わらなかったです。文化祭で、水泳部だからって1人だけ水着にさせられて、みんなの前でなんかやらされたりしました。いじられてはいたけど嫌だっていう感じは無かったです。
大学受験は?
塾には行かず、自分でどうやって勉強したらいいかなと考えたり、先生に相談したりしていました。
真面目な高校生だったんだね。じゃあ両親が喧嘩してる以外は平和?
平和というか、大人しくしすぎたせいで人とのコミュニケーションはあんまり取れてなかったと思います。友達が全くいないわけではないけど、積極的に大勢の友達とは関わらなかったです。将来のこともあんまり考えてなくて、とにかく勉強して大学に行くみたいな感じでした。
両親から、仕送りする余裕はないから近くの大学に行けと強く言われて、隣県の国立大学に進学しました。自分は本当は東京とかに出たかったんですが。
なぜ東京に出たかった?
学力的な面で東京の大学にも行けるんじゃないかって思って、挑戦してみたかったんですけど、両親からすごく反対されて。大学は、隣の県だけど家から通っていました。大学の近くの一人暮らしの友達のところに泊まったりもしていました。
法学部を選んだ理由は?
高校時代の社会科の授業がすごく好きだったので、政治経済や法律に興味を持って。
それが今にもつながっているんだね。
絶対それはある。
大学のゼミでのコミュニケーションが苦痛だった
大学の勉強はどうだった?
ゼミってあるじゃないですか。そこが難しかった。一人でみんなの前で発表したりすることがめっちゃ辛かったです。緊張してあんまりしゃべれなかった。それに先生やゼミのメンバーとコミュニケーションを上手く取れなくて。10人くらいのグループで行動しなければならなくて、ついていけずに孤立感がありました。高校までは大人数の集団授業だったので人間関係を作る必要もなく、問題なかったのですが。ただ、成績の問題はなく、卒論を書いて4年で卒業しました。
就職活動は?
ロースクールに行きたいと思ったけど、親がお金がないからダメと許してくれずに、あきらめた頃には就活の時期も終わっていて、どうしようと思って。で、東京に出れば仕事あるんじゃないかと思って。
家を出て、仕事を探して東京へ
仕事決まってないけど東京に出てきた?
流石にもう家を出たいというのもあって。ホテルに泊まりながらタウンワークとかで仕事を探して、すぐに寮付きの警備員の仕事が決まったんです。外で交通誘導をしていて、夏は暑いし夜勤も多くて大変でした。
そこでの人間関係はどうだった?
あんまりよくなかったです。現場系の仕事だったから荒い人も多く、苦手なタイプの人たちしかいなくて。仕事もきついし人間関係もつらいしで、体調を崩して8ヶ月ぐらいで辞めました。それで、寮も出なければならなくなって。
ネットカフェからサンカクシャへ
その後は、働いていた時に貯めた貯金を切り崩してネットカフェみたいな所に2週間くらい泊まっていました。ネットですぐに住めるところを検索して、サンカクシャにシェアハウスがあることを知りました。他のところも問い合わせしたんですが、サンカクシャが近いしいいかなみたいな感じで。
荒井さん(代表)のツイッターに家がなくて困っているんですけどと連絡したら、じゃあ来てとなって、サンカクキチで荒井さん、寺中さん(ケース担当)と面談しました。
その時の印象は?
いい人じゃないかなって。話をいろいろ振ってくれたんでしゃべりやすかったですね。信頼できるかなと思いました。それで、当日中にシェアハウスに入ることができました。
1ヶ月でシェアハウスを出たのはなぜ?
生活保護を申請しようということになって、スタッフの人に役所に同行してもらって受けられることになりました。それで、他にシェアハウスの部屋を必要としている人がいたので、家を見つけて引っ越すことになりました。
荒井さんに紹介してもらった不動産屋さんの仲介で、たまたまシェアハウスの隣のアパートの部屋が空いていたので、近い方がサンカクシャにも相談しやすいと思ってそこに引っ越しました。
家が落ち着いてからの仕事探しと資格取得
そこから早く仕事を見つけたいなって思って。最初は特にこれがやりたいということはなく、とにかく何かスキルを身につけたい思って、サンカククエストに参加しました。それまでもサンカクキチには来ていたんですが、ご飯の時間まで暇だなというのもあって。
どんなクエストをやった?
最初は、博物館が作っている動画の編集。勝手がわからなくて時間かかったりしたんですけど、今では慣れて普通にできるようになりました。その後はサンカクシャを紹介するカードのデザインをして、今はサンカクシャ5周年のロゴデザイン。それ以外ではIT企業のインターンに参加して、ITの資格の勉強やP Cでのデータ入力の体験をさせてもらいました。
行政書士の資格を取ろうとなるまではどういう経緯があった?
サポステ(若者サポートステーション)に寺中さんに同行してもらって、適性診断で向いてる仕事を見つけてもらったんですが、その中に行政書士があったんです。それで、これ大学でやってたことに近いし、行政書士試験を受けてみようと思って勉強を始めました。
試験の勉強は独学で?
自分でテキスト買って、ユーチューブの動画を見たりしながら5ヶ月くらいの間、1日5時間くらい勉強しました。たまにサンカクキチのコワーキングスペースで勉強してたんですが、それがすごく良かったです。それで去年の11月に試験を受けて、受かったぞという手応えがありました。
その後バイトを探したんだっけ?
初めてのバイトをインディードで探して、行政書士事務所の仕事を見つけて、採用になったんですが、1ヶ月で“あなたは向いてないかもしれないから次から来ないでくれ”って言われてしまいました。お客さんの会社の帳簿をつけたりする仕事で、ちゃんとやっていたと思うんですけど、初めてのことだらけなんでスピードは遅かったかな。ちょっと思ってた仕事と違ったんですが、頑張ればできそうだったのでショックでした。
アルバイトをクビになって落ち込んでいましたが、この前、試験の合格発表で合格を知ってプラマイゼロになりました。
資格を活かしてサンカクシャと仕事をしたい
これからはその資格をどう活かす?
サンカクシャが会社をつくるというプランがあるようなので、そこに参加できたらいいなと。荒井さんが司法書士の人を紹介してくれると言っているので、一緒にサンカクシャの会社設立の手伝いもできたらと思います。行政書士の事務所のバイトも探して、経験を積んで、将来的には独立したいです。
私生活でやりたいことはありますか?
今、住んでるアパートの契約更新が来年にあるので、それまでに引っ越しを考えています。そのためにバイトをしてお金貯めたいです。あとは、今はそれどころじゃないというのもあるんですけど、彼女もつくれたらいいなと思います。
ご両親との連絡は?
携帯電話の番号を変えたので、両親は何も知らないです。今は、サンカクシャが実家みたいになっています。
東京にきてからもうすぐ2年。その間に変わったことは?
いつも荒井さんと寺中さんが無茶振りをしてれくるお陰で(笑)、いろんな人としゃべれるようになりました。
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ライター
水上みさ
広報/ファンドレイジング
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