楽しいは楽じゃない

楽しいことと楽なことは違うなと思う。

僕は音楽を演奏するのも作るのも大好きなのだけど、ライブの時にお客さんを集めるのも、自分が納得のいく曲を作るのも全然楽じゃない。
生みの苦しみとはよく言ったもので、良いものを世に放とうとすると制作過程には苦しみがつきまとう。何なら世に放つタイミングでも、評価に対する不安がつきまとう。自分が自信を持って生み出したものに、もしネガティブな評価がついたらと思うと、不安でたまらなくなるし、緊張で手が震える。
それでもやろうと思うのは、なぜだろう。「好きだから」だけでは片付けられない何かがある。

きっと、「楽しさ」の先を知っているからだと思う。曲が出来上がった時の満足感や、ライブをした後の高揚感は筆舌に尽くし難い気持ちの良さがある。
その快感欲しさに、緊張も不安も面倒臭さも乗り越えられる。
だから、知っているというのは、何かに取り組む上ですごく、すごく大切なことだ。
苦しくても、それ以上の楽しさがその先にあるということを知っていないと、どうしても楽な方に逃げてしまう。誰だって苦しいだけの思いはしたくない。
楽しいを共有できる人も必要だ。それは一緒に取り組む人かもしれないし、見守ってくれる人や、手助けしてくれる人かもしれない。
楽しさはきっと、関わりの中に芽生える感情だ。

楽しさを選び続けるって、楽じゃない。でも、楽しさを選べた方が、人生は楽しい。
若者たちにも、そんな経験をしてほしいなぁ。

自戒を込めて。

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