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特集・企画

2024.07.04

支援する・されるの関係を超えて〜ひとりの人生の先輩として若者とかかわる〜【若者×オトナリサン×スタッフ座談会】

サンカクシャでは、ご寄付やボランティアなどで一緒に若者を応援してくださっている方々を「オトナリサン」と呼んでいます。

今回は、オトナリサンの大塚怜代さん(以下:さとよさん)と、若者(以下:あおいちゃん ※仮名)、スタッフ宮本の座談会を行いました。

仕事と子育てを両立しながら、ボランティアの道へ

――サンカクシャと出会ったきっかけを教えてください。

あおいちゃん)荒井さん(サンカクシャ代表理事)と初めて会ったのは、4年くらい前、10代の時でしたね。自分の妊娠・出産の相談をしていた、信頼しているNPOの方から紹介してもらいました。

さとよさん)私は3年くらい前からですね。

公認会計士として監査法人で働いていて、独立したタイミングでボランティアを探し始めたのですが、なかなか見つからなくて。NPOでのボランティアは、土日や平日夜の時間帯が中心で、子育てしながらだと、タイミングが合わなかったんです。

そんな時、NPOに詳しい知人が、「ボランティアしたい公認会計士がいるよ」とサンカクシャにつないでくれたのがはじまりです。サンカクシャの活動は日中に参加できるものも多く、チャレンジすることにしました。

宮本)最初は「イッショニバイト」というアルバイト探しの伴走プログラムにかかわってもらっていましたよね。

(記帳代行クエストの様子)

応募ボタンを押すまで、30分間、隣で見守ることも

――「イッショニバイト」では、どのようなことをされていましたか?

さとよさん)アルバイトをしたことがない子のために、ほかのオトナリサンと力を合わせて、アルバイトを探してましたね。

「これやってみようよ!」と時には背中を押すんだけど、本当に初めてのアルバイトで、なかなか勇気が出ない子もいて。応募ボタンを30分くらい押せないこともありました。その時は、ボタンを押すまでの間、雑談して場をほぐしながら、見守っていましたね。

(記帳代行クエストの様子)

宮本)イッショニバイトは、アルバイト探しのため、若者1人に対して、スタッフやオトナリサンなど複数の大人が応援するのですが、さとよさんのチームはオトナリサン同士の活動がさかんで。ほとんどオトナリサンが中心となって、若者の応援をしていましたね。

長くつながり続け、活動の場で再会

さとよさん)最初はオンラインでの応援が中心だったんだけど、タイミングが合って、みんなで対面で会ったことがあって。やっぱり会うと、すごく盛り上がりましたね。

宮本)イッショニバイトで応援していた若者とオトナリサンが、クエストフェスの時に再会したんですよね。同窓会みたいで良い場でしたね。

クエストフェスとは・・・働く自信がない若者が周りと協力しながら仕事を体験して自信につなげるプログラム「サンカククエスト」を豊島区のまちに集結させたフェスティバルのこと。

さとよさん)若者もアルバイトが続いていたり、オトナリサンも全然違う仕事に就いていたり。お互いの近況を話せて、すごく楽しかったです。

サンカクシャで見つけた、自分の暮らしに合うボランティアの形

宮本)さとよさんが「イッショニバイト」でかかわっていた若者が、アルバイトをしたことがない子で。ダイレクトメールの封入などの仕事体験(通称:サンカククエスト)をしている時に、さとよさんのアイディアで「記帳代行クエスト」が始まったんですよね。

記帳代行クエストとは・・・公認会計士のさとよさんのレクチャーのもと、会計の知識や経験がない若者に対して、領収書の整理や会計ソフトの使い方、仕訳パターンをレクチャーし、帳簿作成業務のお仕事を体験する取り組み。

――記帳代行クエストをされてみて、どうでしたか?

さとよさん)若者たちがみんな真面目に取り組んでくれているのが印象的でした。こんなに地道な仕事でいいのかな?って最初は思っていたけれど、みんなに「楽しかった!」って言ってもらえて、私も嬉しくて。

「記帳代行クエストをやりたい」って言ってくれている子はみんな意欲的な感じがする。

(記帳代行クエストの様子)

宮本)さとよさんのスタンスが若者たちに受け入れられやすいんだと思います。

ふだんから若者と一緒に遊んでくれるさとよさんが提供してくれるお仕事体験だからこそ、チャレンジしやすいというのもありますし、有償でのお仕事体験でもあるので、意欲が回復した子たちが集まりやすいと感じています。

最後に「楽しかった!」という感想をもらえるのは、私も意外でしたし、すごく嬉しい発見でもありました。

さとよさん)実は私自身がめちゃくちゃ助かってる!私は単純作業があまり得意じゃなくて。レシート整理などの地道なことを、若者たちとワイワイしながら作業できて楽しかったですね。

(レシート整理の様子)

みんなが作業に集中してる時間は、通常業務を行うこともあり、みんなと楽しく過ごしたり、時には自分の仕事もしたりしながら、自由に過ごせるのがありがたいです。

サンカクシャとかかわってみて、「あ、これが、私がかかわりたいボランティアの形だったんだ!」って痛感しましたね。

宮本)それは嬉しい!

ボランティアの枠を超えて、ひとりの人生の先輩として話すことも

あおいちゃん)私がさとよさんと初めて会ったのも、「記帳代行クエスト」の時だったんですよね。

――ちなみにお二人が初めて会ったのはいつですか?

あおいちゃん)2人目の子どもを妊娠中の時ですね。21歳の頃でした。

(当日はオンラインで座談会を実施)

宮本)もう少しで臨月って話が出てた頃だったよね。

さとよさん)サンカククエストの詳しい内容を聞いてなかったけど、当日参加してくれたんだよね。コロナ禍なのもあって、オンラインでつないで、遠隔で入力作業をしてもらいました。突然のことだったのに、真剣に作業してもらえて、助かった記憶があります。

(当時の様子)

宮本)2人とも子育て中だったから、保活とか出産費用の話とか、子育てトークもして盛り上がってたよね。

さとよさん)今の仕事を始めたばかりの時、2人だけでオンラインで仕事の話をしたこともあったよね。

あおいちゃんの仕事と、私の仕事内容が結構似てるから、共通の話題がたくさんあって、盛り上がるんだよね。あのシステム使いづらいよねとか(笑)。

アルバイトから正社員へ。着実な歩みへの感動を分かち合う

――あおいちゃんは今どんな仕事をしているんですか?

あおいちゃん)サンカクシャで結んでもらったご縁なんですけど、今は税理士事務所で、税理士さんの経理業務のお手伝いをしています。最初はアルバイトから入ったのですが、今は正社員登用に向けて、契約社員として仕事をしています。

さとよさん)改めて本当にすごいね~!

宮本)みんなで大切に育ててきたあおいちゃんが、もうすぐ正社員っていうのは一大ニュースだから!今でもその話を聞いた時の感動を覚えてるよ。

本当にそれくらい、スタッフも、オトナリサンも、妊娠・出産の相談をしていたNPOも、みんなあおいちゃんのことを大切に見守ってきてたからね。

「私にもできるんだ!」オトナリサンとの出会いがきっかけで経理への道へ

――あおいちゃんは、今後どんなキャリアを積んでいきたいですか?

あおいちゃん)将来は地域に密着した飲食店を開いて、自分で全部、経理業務をできるようになりたいですね。次のステップとして、まずは、今の税理士事務所で決算業務までできるようになりたいです。

さとよさん)夢がすごく具体的!次のステップを達成できたら、どこでも経理として活躍できると思うな。

(記帳代行クエストの様子)

――経理の仕事にはもともと関心があったんですか?

あおいちゃん)実は、経理の仕事に興味を持ったのは、さとよさんがきっかけなんですよ。

記帳代行クエストで、はじめて経理の仕事にチャレンジして。「経理なんて難しいこと、自分にはできないんだろうな」って思ってたんですけど、さとよさんが教えてくれて。「私にもできるんだ!」って思えたんです。

――さとよさんとの出会いを通じて、自信も育まれたのですね。

友達の延長線上としてのスタッフの存在

――あおいちゃんにとって、さとよさんのようなオトナリサンとスタッフの違いはなんですか?

あおいちゃん)私は今、経理の道に進んでいるので、経理でわからないことや困ったことがあった時に、相談しやすいのはさとよさんですね。

だからといって、サンカクシャのスタッフさんが相談しづらいわけではなくて。

サンカクシャのスタッフさんって、友達の延長線上って感じがするんですよね。ちょっとお兄さん、お姉さんな友達というイメージが強くて。だからこそ、ちょっとした相談や雑談がしやすいな、と思っています。

右も左もわからない状態から、自分の課題を言語化できるまで成長

あおいちゃん)実は私、さとよさんに教えてもらって、私もfreee個人認定資格をとったんですよ!

※freee個人認定資格を取得するためには、登録要件があり、会計事務所や社会保険労務士をはじめとした士業や財務コンサルタントなど、一定のスキルが求められます。

さとよ)それは本当にすごいね!freee個人認定資格がとれたなら、サンカクシャの経理担当として、記帳代行もできるよ!(笑)

宮本)あおいちゃん、サンカクシャの経理担当もやってよ~!(笑)

あおいちゃん)やりたいです!でも、決算にチャレンジしたこともなくて、インボイス対応もわからなくて。まだ、お役に立てる自信がないです。

宮本)あおいちゃん、すごい成長したなあ。最初は何もわからないことからスタートしてたのに、今はわからないことを言語化できてるのがすごいと思う。

頼れる先輩の根っこにあるやさしさ

――職場の先輩方やさとよさんのサポートを着実に自分の力にされている様子が伝わってきました。職場の先輩は、あおいちゃんにとってどんな方ですか?

あおいちゃん)最初の面接の時に「NPOでのお仕事体験とは違って、うちは仕事だから、しっかりやってもらう必要があるよ」と言われて、本当にそうだなって思って。

今、お世話になっている先輩は、上司としてしっかり指導してくれますけど、根っこがめちゃくちゃ優しい人なんですよね。子どもが急に熱を出した時、「全然大丈夫だよ。ゆっくり休んでね」って言ってもらえるので、すごく助かっています。

――あたたかい環境でお仕事できているようで嬉しいです。

サンカククエストを巣立った若者が頼もしい先輩へ

あおいちゃん)あ、そういえば、職場の先輩の渡辺さん(仮名)が、宮本さんに「いつでも遊びに来てね」って言ってましたよ!(笑)

渡辺さんはずっとサンカクシャのことを応援していて、サンカクシャの近況に私よりも詳しいんです。

うちの税理士事務所でも、サンカククエストできないかな?今度、「サンカククエストないですか?」って声をかけてみてください!

宮本)あおいちゃんが仕事に慣れるまでの大変な時期に、後輩を連れていくなんてと思って、少し遠慮してたんだよね。

あおいちゃん)あおいはもう大丈夫ですよ!だから、ぜひ来てください!待ってます!!

宮本)まさかあおいちゃんから、サンカククエストのお誘いが来るなんて!就職したばっかりの右も左もわからない頃からずっと見守ってきたから、本当に感慨深い。若者たちから見て、心強い先輩になったね。

ぜひあおいちゃんの職場に遊びに行かせてください!

サンカククエストから就職まで。かかわりしろの多い大人を増やしていく

宮本)あおいちゃんが働くまでの道のりは、さとよさんに加えて、渡辺さんの存在も肝だったと思っていて。

今後は、渡辺さんみたいな大人も増やしていきたいな。サンカククエストから就職まで、一気通貫でご相談できる人が増えていくと、まちの中で若者が活躍できる場がどんどん広がっていくと感じています。

あおいちゃん)ぜひ今度会った時に言ってあげてください!

さとよさん)改めてサンカクシャってすごいなって思った。若者にも、オトナリサンみたいに応援してくれる大人たちにも、寄付者にもちゃんと向き合っていて、三者に手厚く対応しているのが本当にすごいです。

わたしもオトナリサンの一人として、これからも何かできることがあれば、サンカクシャのチャレンジを応援していきたいです。

ーーあおいちゃん、さとよさん、宮本さん、今日はお話を聞かせてくださって、ありがとうございました!


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ライター

菊川恵

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2024.07.04