特集・企画
2025.02.08
笑いが絶えない「愉快」なチームで、若者と一人の人としてかかわる【スタッフインタビュー】
サンカクシャでは、多様なキャリアのスタッフが在籍しています。福祉現場での経験がないスタッフやほかの仕事と兼業しているスタッフも多いです。
今回は、若者からも街の人からも「はまー」という愛称で親しまれている、居場所事業マネージャーの早川智大に話を聞きました。サンカクシャに入ったきっかけや活動で大切にしていること、今後の展望を語ってくれました。
サンカクシャで働くなかで、「非効率さ」を許せるようになった
———サンカクシャに入ったきっかけを教えてください。
僕はうつ病で2年くらい仕事を休んでいた経験があります。仕事を再開するにあたって、どんな仕事をしようか考えているときに、偶然、求人を見つけたのがサンカクシャでした。
当時は、事業会社で働くイメージが持てず、NPO中心に探していて。関心領域を絞っていくうちに、最後まで残ったのが、子ども・若者支援でした。いろいろと応募しているなかで、ご縁があったのがサンカクシャだったんです。サンカクシャに入社してからは、2年10か月になります。
———サンカクシャに入る前は、若者支援にどのようなイメージを持っていましたか?
正直、なんのイメージもない状態から、キャリアをスタートしました。高校や大学の同級生がNPOでインターンシップをしていたのを見ていて、そういう活動もあるんだなと思っていたくらいでしたね。
若者支援自体には以前から興味はあったものの、大学生や高校生のキャリア教育のイメージが強く、生活全般の支援については、イメージがわいていませんでした。
———実際に入社してみて戸惑ったことはありますか?
全部です(笑)最初は本当に何もわからなかったですね。
僕自身が新たなポジションを作ってもらって入社していたこともあり、定型の仕事がそんなになかったんです。最初は「イッショニバイト」という、アルバイト探しの伴走をする担当と、ボランティアコーディネーターを兼務していました。
空いた時間はずっと若者たちと関わっていましたね。何をするでもなく、仕事のサポートが必要そうな若者を見つけては話しかけて、定期的に様子を聞いたり、どういうことがしたいのか話を聞いたりすることが中心でした。

若者との関わりにはあまり困らなかったけど、これは仕事なんだろうか?とはずっと気にしていましたね。そうこうしているうちに、入社して4か月が経った頃、サンカクキチの施設長をしていた前任者がサンカクシャを卒業することになり、入れ替わる形でサンカクキチの担当になりました。
自分が責任を持って事業を回していく立場になり、仕事量が増えたことがきっかけで、必然的に仕事を覚えていきましたね。これで大丈夫だという実感を持つ前に、様々な仕事を引き受けていくなかで、徐々に仕事の型ができあがった感覚が近いです。
———サンカクシャで働き始めて、仕事観に変化はありましたか?
非効率なことを許せるようになりましたね。会社員だった頃は、最小限の労力で最大の結果を出すことが重要だと信じて仕事をしてきていて。サンカクシャに入ってからは、一見、意味がなく感じることにも、意味があると思えるようになりました。意味は後からついてくる感覚がありますね。

(居場所での活動の様子)
街の中にも居場所があることが自分を支えてくれた
———今までのお仕事と真逆の価値観だと思うのですが、ギャップはなかったですか?
実は、サンカクシャに入ってからの価値観のほうが、自分本来の価値観に近いんですよね。会社員の頃は、「あるべき社会人」の姿を装っている感覚があって。そのため、ギャップというよりは、楽になった感覚のほうが近いです。
僕の場合、街の中に自分の居場所ができたことも、自分を救ってくれていたと感じています。
サンカクシャに入職した頃は、ボランティアコーディネーター業務も担っていたため、積極的に街の活動に参加するようにしていました。街に出るときは「サンカクシャ」としてではなく、一人の人として参加することを大切にしていました。いきなり「NPOです」と言われても、怖いし、怪しいのではないかと感じていたからです。
いろいろな活動に顔を出しているうちに、いつの間にか友達がたくさんできていきました。

(街の活動に参加している様子)
サンカクシャ以外に人と関われる場を持っていたことで、仕事を続けてこられたと感じています。
サンカクシャの仕事は楽しいけれど、決して楽な仕事ではないですし、仕事を続けていくうえで居場所が複数あることが大切だと痛感しています。実際にスタッフの多くが複数の仕事をしながら、サンカクシャで働いています。
大変なときでも、いつも笑いが絶えない「愉快」な組織
———はまーさんが思うサンカクシャらしさは何ですか?
サンカクシャは自由度が高くて、できることの幅が広いと感じています。サンカクシャのいいところは「できない理由を語らないこと」だと感じています。法人の財務状況に余裕はないものの、若者に必要な支援は、ある程度、実現する強い意志があればできる環境だと思います。
あとは、サンカクシャは「愉快」の一言に尽きますね。ずっと笑いが絶えない組織だなと感じています。まじめな会議をしている時でも、若者と面談している時でも、急に大爆笑することもあるんです。

サンカクシャに合いそうな人は、物事を面白がれる人だと感じています。面白がることって、スキルだと思うんですよ。一見、困難に感じることも、困難さすらも面白がれる人たちが集まってきてくれることで、支援業界のイメージも変えていけるのではないかと思います。
自分にとっての支援業界のイメージは、使命感が強くて、パッションより、ミッションが勝つ感じがするんです。大変なことに取り組んでいる自負があって、現体制への怒りもある。それはそれで必要なタイミングがあると思うのですが、多様性を受け入れたり、誰かの活躍を応援したりしていくときには、怒りを手放すことも必要です。当事者が安心して近づけるのは、笑っている愉快な人たちだと思うので。
「支援者」ではなく、「一人の人」としてかかわる
———若者とかかわるなかで、意識していることや、あえて意識しないようにしていることはありますか?
なるべく「これ言っちゃダメかな?」と考えないようにしています。
人と人のかかわりなので、意図せず、傷つけてしまうこともあるだろうし、不意に言葉が強くなってしまう瞬間もあると思います。それでも、あえて気にしないようにしていて、後からなんとでもなると思うようにしています。萎縮して言葉を飲み込むよりも、謝りながらでも互いの素に近い部分で関わっていきたいです。
「支援者」ではなく、「一人の人」としてかかわることは、サンカクシャ全体で大切にしている姿勢です。
———定期的に新たなスタッフを採用していますが、新たなスタッフが入ることにより、居場所事業でなにか変わったことはありますか?
僕が居場所事業に移ってきた当初は担当者が僕だけだったのですが、人が増えたことでできることの幅が広がってきたと感じています。だからこそ、次のサンカクキチの姿を模索しているタイミングでもあります。
スタッフも増え、以前よりも目が増えた分、死角がなくなってきた感じがしていて。死角がなくなると、抜け穴を見つけようとする動きも出てくると思います。だからといって、居場所のルールをガチガチに作ることが正しいとは思わないし、基本的には、若者たちが自分で責任を持ちながら、いろいろなことができる場になるといいなと思っています。
サンカクキチでは、簡単な覚書があるのですが、ルールでしばりたいのではなく、覚書の範囲であれば自由だということを示したくて作ったんですよね。自由は一定の責任のもとで、創意工夫から生まれるものだと思っているので、覚書の内容を息苦しく感じるのではなく、創意工夫できるようなマインドを一緒に作っていけるとよいのかなと感じています。
若者の日常の選択肢が増え、暮らしが変わることを目指す
———居場所事業のなかで今後やっていきたいことはありますか?
サンカクシャの事業は、住まいや仕事のサポートなどもありますが、一番支援から遠く、「遊び」に近いのが居場所事業の良さだと思っていて。一人の人としてのかかわりが生まれやすいことは、居場所事業の核にもなる大切なことです。一人の人としてかかわるからこそ、若者から聴ける話もあると感じています。
今後は居場所事業の活動の幅を増やしていきたいですね。居場所は単に拠点だけをさすのではなくて、「場所」と「関係性」がかけ合わさってできるものだと思うんです。若者と一緒に出かけるオデカケや、定期的に活動を行うブカツも、若者にとっての居場所になり得ると考えています。
支援の切り口が「遊ぶこと」や「休むこと」に振れているのが居場所事業の良さだと思うので、活動を増やすなかで、若者たちの過ごし方のバリエーションが増え、暮らしが変わっていくといいなと思っています。
サンカクシャの活動のなかで、自分の夢にも挑戦
僕自身は、今年新たにできる予定の働くことに特化した拠点「サンカクオフィス」で飲食事業の運営にも力を入れていきたいです。サンカクオフィスのテーマは「若者の活躍」です。
チームメンバーと話すなかで、若者が打席に立つためには、スタッフ自身が打席に立ち、生き生きと仕事をすることが大切なのではないかという話になりました。実は、いつか飲食店を開業することが僕の夢で。サンカクシャの中で自分自身の夢への一歩を踏み出し、チャレンジする背中を若者たちに見せていきたいです。
(飲食イベントで一日店長をしたときの様子)
———はまーさんがひたむきにチャレンジする様子を見て、若者たちも何か感じるものがあるかもしれませんね。はまーさんの新たな挑戦を応援したいです。今日はありがとうございました!
サンカクシャでは、現在、マンスリーサポーターを募集しています。若者支援の重要性が徐々に広まってきている一方で、公的支援は少なく、ご寄付や助成金でなんとか活動を継続しています。月額1,000円からご寄付いただけますので、ぜひこちらから応援をお願いします。
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ライター
菊川恵
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