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活動報告

2022.08.16

期待と不安が混じりながらも「やってみる」と決断するキッカケ作り【アップルプログラム・前編】

「人と話したり、自分のことを表現したりするのは苦手だったけど、サポートしてもらって、自分でもこういうものがつくれるんだと自信がもてた」

「この場では受け入れてもらえることに安心したし、全員がいい作品をつくるために打ち込んでいたから、自分も精一杯できて楽しかった」

これは「Today at Apple Creative Studios」プログラムに参加した若者が、最終日に会場で述べた感想の一部です。

「できるか分からない・・・」と遠慮気味だった姿から、顔が上がり、表情が明るくなっている様子に、見ているこちらが感動してしまいました。

Appleで過ごした、5週間にわたる時間の中で、若者たちにどんな変化があったのか、プログラムに同行した宮本から、できるだけアツアツのままお伝えします。


心待ちにしていたプログラム

今回参加した「Today at Apple Creative Studios」は、Apple Store(アップルストア)で無償開催されているワークショップ「Today at Apple」の拡大版。機会に恵まれない若者にクリエイティブの力を伝えようと、2021年夏に世界各地で始まったプログラムです。東京での実施は日本初。この貴重な機会に、サンカクシャの若者が参加できることになりました。

これまで育ってきた環境・背景のために、自分を認められず自信がない、自分のことをうまく表現できない、次のステップに踏み出せず悩んでいる・・・という若者に、このプログラム内で創造する体験を通して、生きていてよかったと思ってほしいし、新しい自分に出会ってほしい・・・

そんな気持ちで準備を進めて2年弱、Appleのみなさんもサンカクシャのスタッフも待ちに待った2022年。ついにプログラムが始まりました。

プログラム開始までの関係性づくり

サンカクシャとしても、若者を外に連れ出して企業と交流する一大イベント。

荒井・石塚を中心に、Appleのみなさんと何度も打合せを重ねてきました。

そして若者には、サンカクシャのスタッフとAppleのみなさんから、特に時間をかけてプログラムを説明してきました。

慣れない環境や人が怖い、新しいことにチャレンジするのは腰が重いという若者が「やってみる」と決めるのは大きな決断を意味します。

そのため、本プログラムの準備期間中に、何度も足を運んでいただき、若者と時間を共にすごしました。

メンターと若者との交流
メンターと若者との交流

特にサンカクシャに近い存在として、若者に寄り添ってくれたメンターのお二人が、彼らの心を動かしたと強く感じています。

メンターにはプロカメラマンのKOOMI KIMさんと、プロビデオグラファーのKENJIさんが協力してくださり、プログラムの設計や進行をサポートしてくれました。

左からKOOMIさん、石塚、荒井、KENJIさん

若者と同じ目線に立って、彼らが好きなことや興味あることを上手に引き出してくれるだけでなく、自分自身も気づかなかったような魅力を言い当てて、引き上げてくれたことで、新たな一面を垣間見ることができました。

ショートムービーの撮影

KENJIさんが動画撮影の制作過程を見せるため、サンカクキチで「あらいちゃん」というショートムービーを企画。若者たちは初めてカメラの前で演技することに。

撮影日が1日しかなく、9時間ほどかけて一気に撮影・録音。はじめは「え、なんで俺が・・・」と消極的な若者たちも、KENJIさんとKOOMIさんの二人におだて褒められるうちに、だんだんノッてきて、おわりの方では一発OKをもらえるような急成長を見せました。

動画撮影の様子

この時点で、若者も面白がってくれているのが分かり、本プログラムへ突き進んでいくことになります。これまで言葉で説明してきたことに加えて、実感として楽しそうな雰囲気が伝わる出来事でした。

期待と不安を抱いてプログラム会場へ・・・

プログラム会場は土曜日がApple六本木オフィス、火曜日がApple丸ノ内ストア。

六本木ヒルズの高層階に行くなんて機会もなかなかありません。サンカクシャのみんなと一緒に行動している安心感はあれど、警備員さんの横を通過して、知らない場所に行くのはドキドキするもの。

そんな若者たちを迎えたのは、大きな音楽と盛大な拍手の雨。

アップル六本木オフィス

気になる若者たちの表情は「・・・・・。」やばい、こわばってる(笑)

人混みを避ける子もいるので、普段の静かな生活から一転、「すごいところに来てしまったな」と思っていたようです。

毎回スタッフのみなさんが拍手で迎えてくださって、全身全霊で歓迎してくれる温かさ。

それはプログラムが始まってからも同様。常に若者を思いやる眼差しと、一緒に楽しもうとするパッションが、運営スタッフの方・ボランティアの方全員にあふれていて、慣れていくうちに若者の緊張もだんだんとほぐれていくようでした。

なかでもランチタイムは仲良くなるにはすごくいい時間でした。

Appleの担当者の方が「若者に健康的な食事を」とわざわざお弁当をセレクトしてくださったおかげで、普段食べられないようなバランスのいい・美味しいランチは、若者の楽しみのひとつになりました。

食事中は積極的にお喋りできませんが、近況を話していくうちに若者もリラックスした様子に。

ランチの様子

1週間に2回も顔を合わせると、お互いに人となりが分かってくるようで、なかなか相手の名前を覚えられない若者が、接点の多いAppleスタッフの名前を言えたときは震えました。

Appleのみなさんの心遣いで、若者の活動にいい影響を与えました。

周りから肯定される安心感

火・土曜日どちらのセッションも、双方向にコミュニケーションをとりながら実施。

つまり若者は話を聞いているだけではなく、マイクを向けられることもあります。

熱心に話を聞いているけど、自分に注目されるのは苦手な子、発言に自信がない子はボソボソ喋っていて、聞き返されること。

またゲストのクリエイターから聞いた話を自分事として落とし込んだり、感じたまま自分の言葉で表現したりするには、どうしても時間がかかってしまうこともありました。

そんな若者の姿に、Appleのみなさんは優しく待ってくれて、どんな発言にも拍手で称えてくれ、大きな安心感と自信を与えてくれる機会となりました。

マイクを向けられても、相手の目を見て発言できるようになったことは、その安心感による変化と言ってもいいと思います。

若者に自信を与えた機会はもうひとつ、iPhoneやiPadを使用した制作ワークショップです。前半でレクチャーを受け、後半で実際に制作、最後はみんなで作品を発表することに。

レクチャーの様子

若者たちはデジタルネイティブということもあり、教わったテクニックをスポンジのように吸収して実践。サンカクシャスタッフも同じ時間でやってみましたが、若者ほど瞬発力はありません(笑)

“Creatives”としてサポートしてくれるAppleスタッフに見守られながら、若者同士でペアやチームになって撮影し合う場面では、「いいね!」「かわいい!」という掛け声もあって、互いを尊重しながらコミュニケーションをとる様子が微笑ましくもありました。

道路に体を横たえながら撮影した渾身の1枚、何度もテイクを重ねた1シーンなど、どれも真剣そのもの。

短時間のワークでは完成しきれないこともありましたが、発表では自分から手を挙げて発言する様子もあり、「自分の作品を見てほしい」という気持ちが素直にあふれていました。

最終日の作品発表セレブレーションの様子は・・・後編に続きます!


▼「Today at Apple Creative Studios」プログラム概要

期間:2022年6月18日(土)~7月16日(土)の5週間
実施日:火曜日・土曜日の全9回
時間:各3~5時間ほど合計37時間以上
場所:Apple丸ノ内ストア(火曜日)、Apple六本木本オフィス(土曜日)
若者の参加人数:定員15名(期間中17名が参加)
実施内容:
1.スタジオセッション:プロのクリエイターによるトークセッションや、一緒に制作するワークショップ
2.スキル:AppleストアでiPhoneやiPadの機能を学び、撮影や編集にチャレンジするワークショップ


▼メディア掲載

「Today at Apple Creative Studios」の模様が取材され、メディア記事として掲載されました。

・Dig-it「アップルがToday at Apple Creative Studioで提供する社会で活躍するチャンス」
https://dig-it.media/thundervolt/article/760099/

・Gadgetouch「『Today at Apple Creative Studios』が東京で開催、新しい学びの場としてのApple Storeのカタチ」
https://gadgetouch.com/apple/1067/

・Phil web「Apple Storeでクリエイターを育成。『Today at Apple Creative Studios』開催レポート」
https://www.phileweb.com/review/column/202207/06/1730.html


▼本企画の後編

だんだん表現が豊かになる若者の変化【アップルプログラム・後編】


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ライター

宮本 緑

社会サンカク事業担当

活動報告

2022.08.16