活動報告
2020.05.19
サンカクシャの取り組み①:若者が素の自分で居られる場「サンカクハウス」って?
サンカクシャは、15〜25歳ぐらいの若者が孤立せず、自立にむかえるよう、社会サンカクを応援する団体です。
それまでの経験から、自分のことを無力に感じていたり、自分の中に「したい」「できる」という気持ちを持てない若者に、素でいられるような人とのつながりと、社会に出るときに糧となるような経験を得られる機会を届けられるよう日々活動しています。
そんなサンカクシャの活動の核となるのが、「サンカクハウス」です。友達の家のように、若者が安心してくつろげる「タマリバ」をつくっています。
(実際のところは、若者からの拠点の呼び方はさまざま。「要町」(場所の名前…)とか「オフィス」とか、「事務所」(聞こえが怪しいすぎる…笑)とか…。なかなか名前は定着しません…。余談でした。)
さて、そんなサンカクハウスですが、豊島区に1拠点目を開設してから約1年、利用者も50名を超え、今年にはもう1拠点増やそうと計画しています。ここに来たら、サンカクシャ“らしさ”がわかる…!なんて言われることもある「サンカクハウス」での取り組みを、ここのメインスタッフ・木村さんへのインタビューを通じて、徹底解剖していきます!
木村遥香(きむら はるか)
東日本大震災の緊急災害支援やアメリカ留学を経て、シンクタンクにて経産省の受託事業に従事。
結婚出産を機にITベンチャー企業の社会貢献事業部で子連れ出社をしながら従事。
サンカクシャには第二子の妊娠中にボランティアとして参加を始め、子連れで非常勤職員として参画を継続。
2020年4月より子どもたちの預け先が決まったこともあり常勤職員として入職する。土曜日は子どもたちと一緒にサンカクハウスに行くことが多い。
– サンカクハウスってどんな場所なんですか?
サンカクシャは、「近所の仲間たちが気が付くと集まっているタマリバ」を地域に作って、若者がそこで楽しく、自分の道を探していけるようサポートしています。コンセプトは、仲間たちがわいわい集まってくる「友達の家」のような場所で、豊島区要町にあるサンカクハウスは、若者がたくさん集まっても、それぞれくつろげる、一軒家です。
実は、代表の荒井が様々な若者を支援しているときに、支援していた若者たちが同級生の友達の家などに溜まっている中で、支援的な関わりが自然に発生していたのを見て、サンカクシャでもそのように若者に自然と届く支援の形を作ろう!と、このコンセプトが生まれました。
平日2日と土日の毎週4日10:00-21:00まで開いていて、昼食と夕食は、タダで食べられるようにしています。漫画やゲーム、Wi-Fiもあって、ついついくつろいでしまうような場にしています。そして、若者がここでバイトができるように、企業から仕事を請け負い働ける仕組みを作っているのも、サンカクハウスの大きな特徴です。
– ただ、遊びにくることもできるけど、その中でアルバイトもできるなんて、盛りだくさんですね…!どんな若者が利用しに来るんですか?
サンカクシャは、学校や社会に馴染めない15〜25歳ぐらいの若者を対象にしています。ご飯を目当てに来る子もいれば、バイトがしたくて来る子、ずっとオンラインゲームやっている子や漫画を読みに来る子など、過ごし方は若者によって本当にそれぞれですね。誰かと話したいけど友達とかもいないし、親以外と話すことがほとんどないから来る子もいたりして。
お昼ご飯と夕ご飯はみんなで食べるので、それぞれ別の行動をしている若者たちもご飯の時間を通じて少しずつ仲良くなっていきます。(仲良くならない場合もありますが)
「どの人が若者で、どの人がスタッフかわからない」といつも見学に来る人に言われるので、利用者とスタッフという差があまりなくいつもラフな雰囲気です。(スタッフも一緒にゲームしたり漫画読んだりくつろいでます笑)
– 若者たちと関わっている中で、気がついたことってありますか?
地域に、義務教育を終了した若者たちの行く場所が、とにかく少ないんだなあ…と気がつきました。みんな口を揃えて言うことは「ヒマ」です。家にはいたくないけど、外に出るとお金もかかる、特にやりたいこともないしヒマだからなんとなく、とみんな話します。家にいたくない、学校に行きたくないという若者が行ける場所が限られていることに課題を感じています。
– サンカクハウスを運営する上で気をつけていることはありますか?
とにかく若者が素を出せるような居心地の良い空間を作るようにしています。そのためには、スタッフが率先してくつろぐ、特に代表の荒井が一番くつろいでいますね(笑) ただ、来ている若者の一部が我慢をしたり…なんてことが起こらないように、「ごはんの準備と片付けは全員参加すること」など、最低限のルールは作って、私がたまに厳しいことを言ったりはしていますね。
若者ひとりひとりのために厳しいことを言ったり守ったりして、秩序を保つ役割と、なんでも受容するゆるい役割が共存していることが運営においては重要だと感じています。「友達の家」ってなんか安心しませんか?
適度な距離感のお母さんがいて、でも、友達もいるのですごく楽しく、時にハメを外すと怒られる。勉強やアルバイありきなどではなく、やりたい子はやれるという強要のない自由な場を作りたいなと思っています。
こうした空間を作ると、若者たちはみんな安心するのか、自然と困りごとや愚痴だったりやってみたいことを教えてくれるようになります。私がキッチンにいるとキッチンカウンター周辺には順番待ちのように若者やスタッフが話に来てくれていつも楽しいです!
– サンカクハウスのなかで、若者たちってどんなふうに変化していくんですか?
サンカクハウスは、2階のキッチンとリビングでみんなくつろいでいますが、3階にはパソコンが常設してある仕事のスペースがあります。上のフロアでバイトをしている若者も多いので、最初はリビングでくつろいでいた若者が徐々に仕事に関心を持って、「自分もやりたい」と話し出すことがあります。また、企業と連携して進路相談会を開催したり、居場所に来てくれる企業の人たちとご飯会があったりと社会人と交流する機会も多いので、多様な大人に触れることで色々なことに興味関心をもつ若者もいます。
「好きなことをしても、何もしなくても、よい場」でありつつ、何かをやってみたい気持ちが湧いてきたときに、すぐ手に取れる機会が目の前にあったり、実現するための相談に乗ってくれる人がいたり、すぐに1歩目を踏み出すことのできる場がサンカクハウスです。
企業と連携した取り組みはこちらの記事で詳しくお伝えします。
– これから目指すこと、教えてください!
色々なボランティア活動の経験から1人のマンパワーってどうしても限界があることや個性が出てくることを学んで。サンカクハウスも1拠点では100人、200人のサポートができるわけではないんですよね。今サンカクハウスで起こっていることをモデルに、若者にとって、素が出せて、気楽に相談できて、でもいざという時は背中を押してくれるような大人をもっと増やしていくことが一番大切だと思ってます。
要町のサンカクハウスを開設してから約1年。利用していた子が、アルバイトでタマリバの運営を手伝ってくれる例も出てきました。何より大家族感があり、すごく良い場になってきたなと思っています。こうした拠点を地域にいくつも作っていきたい、そう思っています。
やっぱり「場がある」ということは重要で、若者を支えるメンバーも増やして、「そこに行けば、素の自分やこれからの自分の人生を応援してくれるような人と出会える」そんな場を、2020年中にはもう1拠点開設すべく準備を進めています。
また、3年後には豊島区文京区で5カ所このサンカクハウスを開設したいと計画しています。もし、「この物件使ってもいいよ」などの情報がございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせいただえれば嬉しいです。また、食べ盛りな若者の胃袋を支えるためにも(笑)、寄付や食材などのご支援も、ぜひよろしくお願いします!
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サンカクハウスで過ごしていく中で、若者が「何かをやってみようかな」という気持ちがうまれたとき、すぐに挑戦できるような「社会サンカク」の機会をサンカクシャは用意しています。この取り組みについては、次の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもぜひ続けてご覧ください!
サンカクシャの取り組み②:自分を諦める若者にも届く「社会へ出るステップ」とは?
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ライター
大畑 麻衣花
広報・FR担当
活動報告
2020.05.19